賃貸借について
普通借家契約と定期借家借契約との違いはなにか
通常の建物賃貸借契約(普通借家契約)では、期間が満了しても、賃貸人から更新を拒絶する旨の通知がなければ、自動的に更新されます。また、賃貸人から更新を拒絶する旨の通知があっても正当事由というものがなければ、やはり自動的に更新されることとなっています。
この原則を変更したのが、定期建物賃貸借契約(定期借家契約)で、このような契約をした場合には、期間が満了すれば、契約は更新されません。ただし、このような契約の場合には、契約書の作成を公正証書などの書面で行ったうえで、賃貸人から賃借人に、「契約の更新がなく、期間満了により建物賃貸借は終了すること」を記載した書面を交付するなど、一定の要件を満たす必要があります。
敷金、敷引特約とはなにか
敷金とは、賃貸借契約に関する賃借人の債務(賃料や原状回復費用など)の担保のために、賃借人から賃貸人に差し入れられるお金です。保証金などの名称で差し入れた場合でも、賃借人の債務の担保として差し入れられた場合は、敷金と同一の内容となり、契約の合意内容により決まります。
新民法622条の2の第1項では、敷金について、「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭」と定義されています。
担保であるため、賃貸借契約が終了した場合には、賃借人の債務を控除した残額が賃借人に返還されます。
契約内容によりますが、契約がない場合について、返還義務が生じる場合として、新民法622条の2の第2項では、①賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき、②賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき、が規定されています。
敷引特約とは、敷金のうちの一定の金額について当然に天引きする旨の特約です。敷引特約が有効であれば、賃貸借契約が終了した場合でも、賃借人の債務の有無にかかわらず返還されないこととなりますが、一般的には、原状回復費用に充てるべきものと考えられています。敷引額が高額に過ぎる場合などには、消費者契約法10条により、敷引特約が無効とされる場合もあります。
賃貸住宅を借りる際には必ず家賃保証会社と契約しなければならないのか
家賃保証会社とは、賃貸人が賃借人から家賃を回収できなかった場合に、賃借人に代わって賃料を支払う会社のことです。賃貸人からは、親族などの連帯保証人が求められることが一般的ですが、この、家賃保証会社の保証が求められることもあります。家賃保証会社の保証が求められた場合には、賃借人が家賃保証会社と委託契約を結び、家賃保証会社に委託料を支払うこととなります。
基本的に、誰と契約を締結するかは自由ですので、賃貸人が、家賃保証会社の保証がない人とは契約をしないというのであれば、家賃保証会社と契約しなければ、その住宅を賃借することはできません。
借りた住宅に前賃借人の荷物が残っている場合、どうしたらいいか
賃貸人(管理会社があれば管理会社)に連絡をして、賃貸人において対処してもらう必要があります。賃借人が処分をすると、後に損害賠償請求を受けるなどのトラブルになりかねません。
賃貸人から賃料の値上げを要求された場合、どうすればよいか
建物の家賃が定められた場合でも、その後、①土地や建物に対する租税などの負担の増減、②土地や建物の価格の上昇や低下その他の経済事情の変動、③近傍の同種の建物の家賃との比較から、家賃が「不相当」となった場合には、賃料の増額や減額の請求ができることとされています。
賃貸人が賃料の値上げを要求する根拠を聞き、納得できれば応ずることになりますが、納得できない場合には、自らが相当と考える賃料の支払いを継続することとなります。賃貸人が賃料の受け取りを拒絶する場合には、法務局に賃料を供託することもできます。交渉により合意ができない場合には、調停や訴訟で解決することとなります。
賃貸住宅の賃借人が家賃を4ヶ月分滞納している。契約解除することはできるか。
まずは、相当の期間を定めて賃料の支払いを催告し、それでも支払われなければ解除するというのが原則です。解除が有効となるには、賃料の不払いにより、賃貸人と賃借人の信頼関係が破壊されていなければなりませんが、一般的に、3ヵ月以上の滞納がある場合には、信頼関係が破壊されたとされる場合が多いとされています。
なお、賃貸借契約書に無催告特約(催告をせずに契約を解除できる旨の特約)がある場合、催告をしなくてもすぐに解除できることがありますが、「催告をしなくても賃借人にとって不合理とは認められない事情」がある場合に限定されているため、そのような特約の有効性には注意が必要です。
賃貸住宅の賃貸人から、賃貸期間が満了するため、退去するよう言われているが、出て行かなくてはならないか。
通常、建物賃貸借契約は自動的に更新されるので、このような賃貸人の申し出は、賃貸借契約の「更新の拒絶」となります。そして、賃貸人は、正当事由というものがない限り、更新を拒絶することはできないこととなっています。
また、更新を拒絶する場合、期間満了の1年前から6ヶ月前の間に、賃借人に更新の拒絶の通知をしなければならないため、その期間内に通知がなければ、自動的に契約は更新されることとなります。
ただし、定期建物賃貸借契約(定期借家契約)が締結されている場合には、期間満了に伴い退去しなければならないのが原則です。
賃貸人が賃借人の許可を得ずに開錠し、賃借人の部屋に立ち入ることは可能か。
建物の所有権が賃貸人にあっても、賃借している以上は、賃借人が部屋を占有(事実上支配すること)する権利があります。また、住居には賃借人の重要なプライバシーに関わるものが多く存在します。そのため、原則として、賃貸人が賃借人の許可を得ずに開錠し、部屋に立ち入ることはできません。
ただし、緊急事態(火災、ガス漏れ、漏水)などの場合において、これを除去または防止する必要がある場合には、賃借人の許可を得ずに賃貸人が立ち入ることができることがあります。
どのような場合に承諾なしに立ち入ることができるかは、最初に契約書で定めておくと明確になります。
契約期間中、賃貸住宅の修繕を賃貸人にお願いすることは可能か。
民法606条により、賃貸人は、賃貸物(借家)の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負うとされています。したがって、借家を修繕しなければ、賃借人が契約によって定められた目的(賃貸住宅では居住目的となります)が達成できない場合、賃貸人には修繕する義務があります。
賃貸人がどこまでの修繕義務を負うかどうかは、契約書に定められている場合が多く、雨漏り等の主要な修繕は賃貸人の負担と定められることが多い一方で、電球や蛍光灯の取替等の軽微な修繕は賃借人の負担と定められることが多いようです。
主要な修繕であっても、修繕義務を賃借人に負わせる旨の特約は一般的に有効であるため、契約書にそのような定めがあれば、賃借人が修繕義務を負うこととなります。
賃借人の責めに帰すべき事由によって修繕が必要となった場合には、賃貸人は修繕義務を負わないと考えられております。
なお、賃貸住宅の修繕が必要な場合でも、賃貸住宅はあくまで賃貸人のものであるため、賃借人が勝手に手を加えることはできません。これでは賃借人には不便ですが、改正前の民法には、どのような場合に賃借人が自分で修繕をすることができるかについて定めた規定はありませんでした。
新民法607条の2では、賃借物の修繕が必要である場合において、①賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないときや②急迫の事情があるときには、賃借人が修繕することできる旨の規定が置かれています。
賃貸人に雨漏りを修繕してもらいたい。
賃貸借契約の定めにもよりますが、老朽化や建物の構造などが原因で雨漏りが生じたのであれば、民法606条により、賃貸人に対し、修繕を求めることができると思われます。一方で、賃借人の用法違反などが原因で雨漏りが生じた場合には、賃貸人に修繕費用の負担を求めることは難しいものと思われます。
賃貸住宅の天井から水漏れがあり、家財道具に被害が出たがどうしたらよいか。
まずは、賃貸人に連絡をして、建物の状況を確認してもらい、原因を究明してもらいましょう。もし、上階の入居者の不注意による漏水が原因であれば、上階の入居者に損害の賠償を求めることとなるものと思われます。家財道具の被害についても、漏水と因果関係がある範囲内であれば、損害の賠償を求めることができるものを思われます。
便器や照明器具が壊れてしまったが、修繕費は誰が負担するべきか。
まずは、賃貸借契約の定めを確認しましょう。定めがない場合、もともと設備自体に問題があった場合や、経年劣化によるものである場合は、賃貸人が修繕義務を負う可能性が高いと思われます。一方で、賃借人の不注意や用法違反が原因で壊れてしまった場合には、賃借人が修繕費用を負担することになります。
賃借人が賃貸人の承諾を得て設置した設備について、退去時に賃貸人に買いとってもらえるか。
借地借家法33条によれば、退去時において、賃借人は、賃貸人に対して、造作買取請求権を有すると定められています。そのため、原則として、買取請求をすることができることとなります。ただし、造作買取請求権を排除する特約も有効ですので、契約書にそのような特約がある場合は、買取請求はできないこととなります。
退去に際し、原状回復についてトラブルとなっている。どうしたらよいか。
賃借人は、賃貸借契約が終了した場合、賃借物(住居)を原状に回復して返還する必要があります。
契約内容によりますが、契約に定めがない場合、この原状回復義務というのは、賃借物(住居)を入居時のそのままに復旧するという意味ではありません。そもそも、経年変化や通常の使用による損耗については、賃借人が賃料として支払っている部分に含まれていると考えられているからです。
そのため、原状回復とは、「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と考えられています。
旧民法には明確な規定はありませんでしたが、新民法621条では、原状回復義務の対象として「賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年劣化を除く)」との規定が置かれました。
トラブルとなった場合は、まず、賃貸人と賃借人で、入居時の状況や退去時の原状回復箇所をチェックし、修繕費の見積りを出したうえで、どの部分を賃借人が負担し、どの部分を賃貸人が負担するのかを話し合うと良いと思われます。具体的にどのような場合に原状回復義務が生じるかについては、基本的に契約書の記載内容によりますが、契約書に記載がない場合には、国土交通省住宅局が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」を発行していますので(インターネットで入手可能です)、参考にしてください。
建築等について
品確法とは何か。
正式名称は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」といいます。①住宅の品質確保の促進、②住宅購入者等の利益の保護、③住宅に係る紛争の迅速な解決のために定められました。
新築住宅の請負契約や売買契約について、基本構造部分の瑕疵担保責任を10年間義務づけていることが特徴です。
なお、新民法において、「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」に改められたことにより、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」においても、「瑕疵」について,「種類又は品質に関して契約の内容に適合しない状態をいう」との規定が設けられています。
住宅瑕疵担保履行法とは何か。
正式名称は、「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」といいます。
瑕疵担保責任が認められても、万が一、住宅事業者が倒産等をしてしまえば、実際には履行を確保することはできません。そこで、住宅事業者が万が一倒産等をしてしまった場合でも、欠陥を直すための費用を確保することができるようにするため、この法律により、住宅事業者が①保険に加入したり、②保証金を供託したりしておくことが義務付けられました。平成21年10月1日以降の引渡しの住宅に適用となります。
万が一、住宅事業者が倒産等をして補修が行えなくなった場合において、施主や買主は、①住宅事業者が保険に加入しているときは、保険法人に対して直接保険金を請求することができますし、②住宅事業者が保証金を供託しているときは、一定の条件を満たしたときに、直接供託金の還付請求をすることができます。
プレハブ住宅の建築にも建築確認申請が必要なのか。
プレハブ住宅でも、建築基準法により、確認申請が必要となることがありますので、きちんと確認をしましょう。
建築当初、里道が前面道路であるとして許可されたが、建替えの際も同様に許可されるか。
里道は、従前は国有地でしたが、現在は市町村に管理が移管されているものもあります。個別の事案により異なりますが、里道が建築基準法上の道路と認められる場合には、建て替えが許可される場合もありますが、建て替えが認められない場合もありますので、きちんと確認をしましょう。
住宅を建設する際に、前面道路が2項道路であった場合、どのような制限があるか。
道路の幅員は、4m(区域により6m指定)以上であることが原則ですが、既成市街地については、4m未満の既存道路が多数存在しています。これらの4m未満の道路をすべて建築基準法上の道路でないとすると、あまりに多くの敷地が接道義務を満たさず、建築行為が禁止されてしまいます。そこで、建築基準法42条2項は、幅員4m未満の道路でも、特定行政庁が指定したものは道路とみなすこととしており、これが「2項道路」と呼ばれています。
「2項道路」の場合、原則として、その中心線から外側にそれぞれ水平距離2mの位置が道路境界標とみなされます(事案により例外もあります)。そのため、「2項道路」に接している敷地に建物を建築する場合には、通常、この道路境界標とみなされる位置まで後退(セットバック)しなければならないとされています。セットバックした部分は、基本的に敷地面積からも除外されますので、注意が必要です。
前面道路が私道である場合、住宅建設はどのようにするか。
私道であっても、建築基準法の42条で定められている「道路」として認められるかどうかが重要となりますので、まずは建築基準法上の道路として認められているかを確認しましょう。その他、私道については、権利関係が複雑となっている場合がありますので、建築指導課や専門家に相談してよく確認する必要があります。
設計事務所や建築会社と契約をしたが、解約がしたい。
施主が、設計事務所や建築会社に手付金を交付している場合には、手付金を放棄することで解除することができる場合があります(民法557条)。ただし、手付解除は、設計事務所や建築会社が履行に着手してしまった後はできなくなります。なお、解除をする側が履行に着手した場合でも、解除は妨げられないため、新民法557条はこの点を明確にしています。また、新民法557条は、履行の着手について、履行の着手をした側(解除ができないと主張する側)が立証責任を負うことを明確にしています。
相手方の契約違反を理由に解除をする場合には、債務不履行に基づく解除をすることとなり、損害があれば損害の賠償を求めることとなりますが、事案により、既施行部分の解除ができない場合もありますので、注意が必要です。新民法634条では、①注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなったときや、②請負が仕事の完成前に解除されたときについて、請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなすとしています。この場合、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができることとなります。
相手方に契約違反がない場合でも、解除すること自体は可能ですが、その場合は、解除に伴う損害を賠償しなければなりません。
いずれにせよ、契約書の内容が優先しますので、解除の場合の違約金の定めなども確認しなければなりません。
話合いにより解決しない場合は、調停や訴訟などの手段を利用することとなりますが、法律関係が複雑になる可能性が高いため、早い段階で弁護士に相談する方がよいと思われます。
建築中の住宅の工期が大幅に遅れており、理由も納得できない。
契約時に工期が定められている場合には、履行が遅滞していることとなり、契約違反となります。工期が遅れていることに正当な理由もなく、約束の期日までに完成することが難しい状況になった場合には、解除をすることも考えられます。ただし、既施行部分は注文者にとって利益となる場合が多いことから、未施工部分しか解除できないこともあるため、注意が必要です。新民法634条では、①注文者の責めに帰することができない事由によって仕事を完成することができなくなったときや、②請負が仕事の完成前に解除されたときについて、請負人が既にした仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、その部分を仕事の完成とみなすとしています。この場合において、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができることとなります。
いずれにせよ、工期が遅れたことで損害が発生した場合には、その損害の賠償を請求することとなります。もし、契約書に履行遅滞の際の違約金の定めがあれば、原則として、その定めに従って処理することとなります。
施主の住宅検査時、すでに施工不良や傷がある。
請負契約は、契約内容どおりの仕事を完成してもらう契約となりますので、施工不良や傷がある場合には、引き渡しまでにその修繕を行うよう求めることとなります。
やむをえず、施工不良や傷がある状態で引き渡しを受けなければならない場合には、施工不良や傷があることについて異議を述べ、その証拠もきちんと残しておいたうえで、なるべく早く修繕を求めることをお勧めします。
住宅が完成したが、完了時の代金を支払わないと引き渡しができないと言われた。
基本的には、契約書の定めに従うことになりますので、契約時に代金支払時期をどう定めたかによります。
契約書に記載がない場合には、報酬は、仕事の目的物の引渡しと同時に支払わなければならない(民法633条)とされていますので、引き渡しと同時に支払いをすることとなります。
新築した住宅が設計図面どおりでない。
基本的には、設計図面どおりに住宅を建築する契約となっているはずですので、まずは、設計図面どおりでない理由を、建築士や施工業者に確認し、納得できる理由かどうかを検討する必要があります。納得できない場合には、弁護士に相談するなどして、交渉や調停、訴訟などで解決することとなります。
リフォーム
住宅のリフォームを予定しているが、口約束で請負契約を進めようとしているが問題ないか
口頭での契約も有効ではありますが、契約書をきちんと作成しない場合、施主と施工業者の認識が一致していないこともあり、後になって紛争となった場合にどのような合意をしたのかが分からなくなり、トラブルのもととなります。そもそも、建設業法19条により、建設工事の請負契約においては、契約書の作成が義務とされていますので、少なくとも、建設業法19条で定められている事項はきちんと契約書に盛り込むべきでしょう。
契約書を作成したうえで、内容が分からなかったり、法的な解釈に不安があったりする場合には、弁護士に契約書の内容をチェックしてもらうと安心です。
訪問販売業者とリフォーム工事契約を交わしたが解約したい。
訪問販売で消費者が契約をした場合、法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内であれば、消費者は、事業者に対して、書面により、契約の解除(クーリング・オフ)ができます。民法では、意思表示は相手方に到達したときに効力が生ずるのが原則ですが、クーリング・オフでは発信主義がとられており、期間内に書面を「発信」すればよいこととなっています。もっとも、意思表示の有無や発信日について、後々トラブルになる可能性もあるため、クーリング・オフを行う際には、配達証明付の内容証明郵便で行うことをお勧めします。
リフォーム代金の支払いについて、クレジット会社を利用して立替払契約をしている場合には、クレジット契約についてもクーリング・オフの手続をする必要がありますので、注意が必要です。
何らかの書面を受け取って8日が経過していた場合でも、受け取った書面が法律で決められた書面でなかったり、クーリング・オフに関する事実と違うことを告げられたり、威迫されたりしていた場合には、クーリング・オフができることがありますし、クーリング・オフ以外の解約の手段があることもありますので、まずは、専門家に相談することをお勧めします。
住宅をリフォームしたが、既に施工不良があり、傷がついている。
リフォームも請負契約ですが、請負契約は、契約内容どおりの仕事を完成してもらう契約となりますので、施工不良や傷がある場合には、引き渡しまでにその修繕を行うよう求めることとなります。
やむをえず、施工不良や傷がある状態で引き渡しを受けなければならない場合には、施工不良や傷があることについて異議を述べ、その証拠もきちんと残しておいたうえで、なるべく早く修繕を求めることをお勧めします。
リフォーム後の瑕疵(契約不適合)を相談できる機関を教えてほしい。
国土交通大臣から指定を受けた住宅専門の相談窓口として公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター(住まいダイヤル)が電話相談を受けています。
建設住宅性能評価書が交付されている住宅(評価住宅)や住宅瑕疵担保責任保険が付されている住宅(保険付き住宅)のトラブルについては、沖縄弁護士会の住宅紛争審査会が、指定住宅紛争処理機関となっており、裁判外の紛争処理(あっせん・調停・仲裁)を行っています。
また、沖縄県建設工事紛争審査会もあっせん・調停・仲裁を行っています。
自宅のリフォーム工事がストップした。請負代金の前払いを行っている状況である。
リフォーム工事がストップした理由を早急に把握する必要があります。もし、経営不振がその理由であり、請負業者の破産手続が開始した場合には、一般的には、破産管財人(破産者の財産を管理するために裁判所に選任される者)が、工事を継続するか、又は、その請負契約を解除するか判断することとなります。
いずれにしても、工事もされず、請負代金の返還もされないままとなるリスクがありますので、早急に弁護士に相談することをお勧めします。
居住後について(住んでから)
新築した住宅の施工が悪く、瑕疵(契約不適合)が見つかった。
平成12年4月1日に施行された品確法では、新築住宅の請負契約や売買契約について、基本構造部分の瑕疵担保責任を完成引渡しから10年間義務づけていますので、10年以内である場合には、瑕疵(契約不適合)にあたるとして施工業者に修繕費を負担してもらうことが考えられます。
基本構造部分とは、構造体力上主要な部分(基礎、柱、床等)と雨水の侵入を防止する部分(屋根、外壁、サッシ等)とされています。
完成引渡しから10年を経過している場合や基本構造部分に該当しない部分の瑕疵(契約不適合)である場合には、 基本的に、契約書の内容や民法などの規定に従うこととなりますが、個別の事案により異なるため、公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター(住まいダイヤル)や弁護士に相談するとよいでしょう。
施行の住宅瑕疵担保履行法により、平成21年10月1日以降に引渡しの住宅について、住宅事業者が万が一倒産等をしてしまった場合でも、欠陥を直すための費用を確保することができるようにするため、住宅事業者が①保険に加入したり、②保証金を供託したりしておくことが義務付けられました。
万が一、住宅事業者が倒産等をして補修が行えなくなった場合において、施主や買主は、①住宅事業者が保険に加入しているときは、保険法人に対して直接保険金を請求することができますし、②住宅事業者が保証金を供託しているときは、一定の条件を満たしたときに、直接供託金の還付請求をすることができます。
なお、新民法において、「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」に改められたことにより、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」においても、「瑕疵」について、「種類又は品質に関して契約の内容に適合しない状態をいう」との規定が設けられています。
品確法の適用期間内に瑕疵(契約不適合)が見つかり、業者に修繕するようお願いしたが、修繕してもらえない。
口頭で請求しても応じてもらえない場合には、文書による請求を行うことで、請求したことが証拠に残るようにするとよいと思われます。内容証明郵便を配達証明付きで発送すれば、文書の内容と到達を証明することができます。
トラブルが解消しない場合には、公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター(住まいダイヤル)や弁護士に相談するとよいでしょう。話合いをする手段としては、沖縄弁護士会の住宅紛争審査会(ただし、評価住宅等の要件あり)、沖縄県建設工事紛争審査会、簡易裁判所での調停などがあります。
近所の工事が原因で住宅に亀裂が入った。
亀裂部分の写真を撮るなどの証拠の保全を行ったうえで、早急に施工業者に連絡し、修繕をするよう求めることとなります。
工事が原因の亀裂かどうか、因果関係が争いになることもありますので、トラブルになりそうな場合は、弁護士に相談し、対応を検討するとよいと思います。
住宅の換気口が施工不良である。
品確法で定められた10年の瑕疵担保責任は、基本構造部分が対象となりますが、換気口の防水処理が問題である場合には、雨水の侵入を防止する部分に該当する可能性があります。
雨水の侵入を防止する部分に該当しない場合には、契約書や民法などの規定の内容に従うこととなります。
瑕疵(契約不適合)を補修(追完)してもらったが、補修についての瑕疵担保責任もさらに10年となるのか
品確法では、新築住宅の請負契約や売買契約について、基本構造部分の瑕疵担保責任を完成引渡しから10年間義務づけています。完成引渡しからの期間ですので、補修(追完)により当然に瑕疵担保期間が延長されるわけではありません。
もっとも、契約書や補修時の当事者の合意などにより、事案によって瑕疵担保期間がどのようになるかは異なってくる可能性があります。
不動産購入の際の注意点を教えてほしい。
不動産業者等から提示される書類の確認はもちろん、実際に現場に行って不動産の現況を確認することが重要です。重要事項説明書や契約書については、きちんと説明を受け、不明な点があれば質問するなど、きちんと理解をしたうえで署名・押印することが大切です。弁護士に契約内容のチェックを依頼することも一つの方法です。
特約などを定める場合には、口頭の合意では後々トラブルとなりかねませんので、契約書にきちんと盛り込む方がよいと思われます。
不動産の買付証明書について
買付証明書とは、不動産の購入を希望する者が物件を購入する意思がある旨を表明する書面です。一般的には、原則として、売買契約の正式な申込みとしての効力までは認められず、その後に正式な契約の締結に至るまでは、売買契約の履行の義務までは認められません。
もっとも、売買契約締結交渉の過程で、不誠実な対応をしてしまった場合には、誠実に契約成立に努めるべき信義則上の義務に違反したものとして、損害賠償義務を負うこともありますので、注意が必要です。
手付金、申込金について
手付金とは、売買契約や請負契約の締結時に支払う金銭のことです。不動産の売買で払われる手付金には、売買契約の成立を示す証約手付の意味がありますが、当事者に解約権を留保させる解約手付、契約違反の場合の違約金としての違約手付としての意味も持つことが原則です。当然に売買代金の一部となるわけではありませんが、売買代金の一部に充当される場合がほとんどです。
宅地建物取引業者が売主で、それ以外の者が買主となる場合には、上限が売買価格の20%とされています。
申込金とは、正確には申込証拠金といい、明確な法的位置づけはありませんが、一般的には、買主に購入意思があることを示して買主の順位を保全する目的で交付されます。相場は5万円~10万円程度で、契約が成立した場合には、合意で代金に充当され、契約が成立しなければ返還されるのが一般的です。
不動産売買の仲介業者に購入申込書を提出したが、売主からこの金額では売れないと言われたとの回答があった。
購入申込書は、あくまで買主側の希望であるため、売主が合意しなければ購入することはできません。もっとも、売買契約締結交渉の過程で、売主が不誠実な対応をした場合には、誠実に契約成立に努めるべき信義則上の義務に違反したものとして、損害賠償責任を追及できる場合もあります。
建築条件付宅地分譲とは何か
宅地の売買契約後一定期間内に、売主又は売主が指定する者との間で同宅地に建物を建築する請負契約を締結することを停止条件(効力が発生する条件)としてなされる売買(分譲)契約です。
請負契約が締結されなかった場合には、停止条件が成就しなかったものとして、土地の売買契約の効力は発生しません。通常、申込金などの受領した金額も全額返還されます。
住宅ローン特約とは何か
不動産取引では、買主が住宅ローンを利用して不動産を購入することがよくありますが、金融機関からの借入れが出来なかった場合に、買主が購入資金を支払うことができないと、買主の債務不履行となり、手付金や違約金を没収されることとなってしまいます。
そこで、このような買主の負担を避けるため、あらかじめ売買契約書に特約を設け、買主が金融機関から借入れができなかった場合には、無条件で契約を解除することができる特約を設けることがあり、これを住宅ローン特約といいます。特約の定め方として、買主に解除権を与える解約権留保型と当然に解除される解除条件型があります。
売買について
住宅の売買契約を交わしたが住宅ローンの承認がおりない。
住宅の売買契約では、通常、住宅ローン特約が定められていますので、その特約に沿って処理できないか確認しましょう。もし、そのような特約がない場合には、売主と相談し、トラブルになりそうな場合は弁護士に相談すると良いと思われます。
中古住宅にも瑕疵担保責任(契約不適合責任)の適用はあるか
中古住宅については、品確法の適用はなく、契約書や民法などの規定によります。中古住宅の場合、契約書において、瑕疵担保責任の免除特約が定められている場合も多くありますが、宅地建物取引業者が売主となる場合には、瑕疵担保責任の期間を引渡しの日から2年以上となる特約をする場合でなければ、買主に不利な特約は定められないこととなっています。
トラブル防止のため、ホームインスペクション(住宅診断)を行ったうえで購入をするのも一つの手です。
なお、新民法では、新民法において、「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」に改められており、宅地建物取引業法でも、「瑕疵」が「目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合」に改められています。
中古物件を購入したが、前所有者の荷物が残っている。
いったん保管したうえで、前所有者(売主)に連絡をして、対処してもらう必要があります。仲介業者がいれば、仲介業者を通じて連絡をとるとよいでしょう。前所有者の同意を得ずに勝手に処分をすると、後に損害賠償請求を受けるなどのトラブルになりかねません。
このような事態となることを避けるため、物件の引渡時に売主も立ち会ってもらい、荷物がない状態で引渡しを受けるように心がけましょう。
マンションの購入をする際に、騒音についての説明があり、重要事項説明書には多少の騒音があると記載されていた。しかし、暴走族が通るなどの予想を超えた騒音があった。
仲介業者は、重要事項の説明義務があり、嫌悪施設については一般的にできる限りの説明をすることとなっています。しかしながら、上記事案において、重要事項の説明義務違反があったかどうかは判断が難しく、売買契約に至った過程や、騒音の程度、発生時期、発生頻度、売主、仲介業者及び買主の認識などを考慮して検討することとなるものと思われます。
マンションの売主である事業者が倒産した。買主は事業者がマンションの施工を依頼していた施工会社に品確法上の瑕疵担保責任(契約不適合責任)を追及できるか。
マンションの買主と施工会社との間には契約関係はなく、買主が施工会社に直接瑕疵担保責任(契約不適合責任)を追及することはできません。
しかしながら、住宅瑕疵担保履行法により、平成21年10月1日以降に引渡しの住宅について、住宅事業者が万が一倒産等をしてしまった場合でも、欠陥を直すための費用を確保することができるようにするため、住宅事業者が①保険に加入したり、②保証金を供託したりしておくことが義務付けられました。
万が一、そのため、マンションの売主である住宅事業者が倒産等をして補修が行えなくなった場合において、買主は、①住宅事業者が保険に加入しているときは、保険法人に対して直接保険金を請求することができますし、②住宅事業者が保証金を供託しているときは、一定の条件を満たしたときに、直接供託金の還付請求をすることができます。
競売物件に入札したが入札を取り消したい。保証金等も支払ったがどうしたらいいか。
いったん提出した入札書の取消しは認められていません。売却決定期日において最高価買受申出人に売却が許可され、この決定が確定すると、代金納付期限が指定されます。期限内に代金を納付しなかった場合には、買受人は不動産を買い受ける資格を失い、所有権も移転しませんが、提供していた保証の返還も受けられないことになります。
共用部分と専有部分について
通常、マンションの建物には、専有部分と共用部分がありますが、専有部分は各区分所有者が管理し、共用部分は管理組合が管理しています。
通常、専有部分は、区分所有権の対象となっている居室の中の部分となっています。
また、共用部分は、他の所有者と共同で使用する部分であり、一般的には、玄関ホール、廊下、屋上、外壁、バルコニー、エレベーターホールや、電気設備、ガス配管、エレベーター設備、給排水設備等の付属設備、集会場、管理人室などとなっています。
もっとも、各マンションの管理規約や総会での取り決めによって範囲は変わりうるため、確認が必要です。
専用使用権とはなにか
専用使用権とは、敷地や共用部分の一部について、特定の区分所有者のみが使用することができる権利をいいます。マンションの専用庭やバルコニー、駐車場などについて設定されていることがあります。
マンション管理について
マンションの購入時に売主の仲介をしていた不動産業者からバルコニーに芝を敷いて庭にすることができるとの説明を受けていた。しかし、入居後に芝を敷くと、管理組合から撤去するように言われた。
バルコニーには専用使用権が設定されているのが通常ですが、共用部分であるため、かならずしも自由にすることができるものではなく、その利用方法については管理規約などにより決められているものです。そのため、もし、管理規約などでバルコニーに芝を敷くことができないと定められており、これに基づいた専用使用権となっているのであれば、撤去しなければならないため、確認が必要です。
売主や仲介業者がそのような説明をしたこととの関係で、売主や仲介業者に責任がある可能性もありますので、まずはなぜそのような説明がされたのか明らかにする必要があると思われます。
マンションの管理を管理会社に委託しているが、自主管理に変更したい。
一般的に、マンションの管理の委託については、総会決議事項となっているので、まずは管理規約を確認しましょう。総会の決議要件や総会で議題とする方法についても確認が必要です。
管理組合と管理会社の契約であるため、その契約の更新時期や解約時期についても確認のうえ、必要な時期に総会決議を行う必要があるものと思われます。
マンション管理士に相談して助言を受けることもよいでしょう。
法律・税金・登記について
隣人が勝手に作った境界塀の請求がきた
民法225条1項では、二棟の建物がその所有者を異にし、かつ、その間に空き地があるときは、各所有者は、他の所有者との共同の費用で、その境界に囲障を設けることができると定めています。しかし、同条2項に「当事者の協議が調わないときは」と記載されているとおり、この条文は、協議のうえで塀を設置することが想定されているものです。したがって、費用を負担すべきかどうかは、双方にとっての塀の必要性や塀の高さ、形状、塀が設置された経緯などにより、一概には言えません。
今後の相隣関係にも配慮する必要があるので、まずは隣人と相談をして、納得ができなければ、弁護士に相談するとよいと思います。